
| 生まれ |
1955年 |
| 子供の頃の夢 |
小説家 |
| クラブ活動(中学校) |
柔道部 |
| 働いている地域 |
東京都 |
出身地 |
千葉県 |
| 仕事内容 |
専門分野の研究と学生の指導を行う |
| 自己紹介 |
小学生のころから印象派の絵が好きで、学生時代、ゴッホが移り住んだ国と町を順番に旅行した。最後に南フランスのアルルに着いたときは感動した。今も旅行、映画、音楽が趣味(しゅみ)。 |

※このページに書いてある内容は取材日(2006年10月16日)時点のものです


私は大学で経営学部の教授をしています。大学で授業やゼミ(少人数での勉強会)、会議をしたり、本を書いたり、自分の研究をしたりするのが私の仕事です。授業をする仕事は皆さん想像しやすいかと思いますが、実は授業やゼミは仕事全体の3分の1くらいの時間しかないのです。あとの3分の1は来年のカリキュラムをどうするかとか、どうしたら大学の受験者を増やせるかなどを話し合う会議の時間で、残りの3分の1は自分の研究に使える時間になります。普段自分の研究をする時間がたくさんとれないのですが、大学教授は夏休みや春休みもしっかりあるので、その時にホテルにこもったりして集中して論文を書きます。

「会社の仕組みをどうしたら皆がうまく働けるか」というテーマを中心に研究しています。研究したものは、毎年定期的に企業の人に発表したり、文章にして本を作ったりします。本にする場合は、同じ分野の研究をしている人達とチームを作って月1回くらい集まって話し合い、一冊の本が完成するまでには約4年もかかるんですよ。最近では、中国の上海にある日本の電気製品メーカーの工場に研究チームで行ってきました。そこでは中国人と日本人が一緒に働いているのですが、中国人と日本人では考え方も生き方も違うので、一緒にうまく働くのって難しいんです。日本でのやり方が中国ではなかなか通用しない。だからどうしたらうまく働くにはどういう仕組みにしたらいいかを実際に工場を見学したり、働いている人と話したり、本を読んだりしながら研究していくのです。

教授の仕事は日によって違いますが、大体朝10時には大学に行って講義をします。私は週に5回会社や経営についての90分間の授業をしています。大学の中に自分の研究室があるので、お昼はそこで食べます。そして午後は会議の資料作りや、次回の授業の準備で学生にわかりやすいように資料を作ったり、話す内容を考えたりします。午後は会議の日も週に1、2回ありますね。会議を夜までやっていることもあれば、晩ご飯を自分のゼミで勉強している大学生と食べにいくこともあります。何もなければ19時くらいになると家に帰ります。そして夜中24時から午前3時くらいまで自分の研究をすすめたり…と少し不思議な生活をしています。

この仕事をしていて一番楽しいことは、若い人とたくさん話せることです。若い人と話すと今まで自分の興味のなかった分野の話が聞けたりして楽しいですね。私は今の大学の他にも週一回別の女子大学で生徒を受け持っているのですが、化粧品会社のシャンプーの競争についてや企業がどうやって洋服の流行を作っているかなどについて研究する学生が多く、とても新鮮です。またゼミの卒業生と年に数回食事や勉強会をしたりして、みんなの様子が分かるととても安心しますね。
とても記憶に残っている生徒がいます。その生徒は学生時代とても元気な男でしたが、6年前に自殺をしてしまいました。本当に突然のことで、私も彼のご家族もとてもショックを受けました。彼はSE(コンピュータシステムを設計する人)の仕事をしていたのですが、毎日とても忙しく大変だったようです。昔から頑張りすぎるところがあったので、仕事も頑張りすぎて疲れてしまったのでしょう。そのことがあってから、ゼミ生含め学生から同じような人を出したくないと強く思うようになりました。研究分野も今までは「どうすれば会社が強くなるか」ということが中心でしたが、「会社と個人がうまくバランスをとって付き合っていくにはどうすればいいか」ということが中心に変わりました。日本には働き方が間違っている会社がたくさんあると思います。

実は中学生、高校生の時は作家になりたいと思っていました。文章を書くのが本当に楽しくて、よく自分で小説を書いたり、中学の時は劇のシナリオを書いたりもしていましたね。もともと自分が幸せになりたいという気持ちが強かったのですが、だんだん自分が幸せになる為には人も幸せにしないといけないと気づいてきたのです。知っている人間が過労で自殺したりする時代に、自分だけ幸せになるなんてありえない。どうすれば皆が社会の中でちゃんと貢献して幸せになれるのかを考えたい。作家の仕事も人を幸せにできると思いますが、もっと根本についてやりたいと思うようになったのです。世界にはいろいろな変化があります。例えば、情報化が進んで今までのやり方が通用しなくなったりとか、日本企業が中国進出するようになったりとか。皆が幸せになる為に実際どうしていったらいいのかはそういう要素を分析していかないと分からないのです。そういう思いから、研究者を目指すようになっていきました。

小さい時から、知らない世界のことを知りたい、世界中いろいろな国に行ってみたいと思っていました。そして小4の終わりにふと「世界にでたら日本語が通じない!」と気付いたんです。それから親に頼んで英語を習い始めました。中学の時には、友達と一緒にラジオ講座でドイツ語を勉強して、学校で2人でドイツ語で会話をしてみたりと、楽しく勉強していましたね。中学の終わりになると今度はフランス語もラジオ講座で勉強するようになり、高校でもフランス語を続けていました。実は、研究をする時に外国語で書かれた本を調べたりすることも多いのですが、小さいときに触れていたのが少し役に立っているかもしれません。今は韓国ドラマが大好きで韓国語も勉強し始めたところです。

皆さん今一番好きなことはなんですか?今一番好きなことを夢中になってやってみてください。今やっていることが将来何の役にたつとかはわからなくても全然いいのです。大人は「やめなさい!」と止めるかもしれませんが、そんなことは気にせず続けてください。夢中になって続けていれば、気付いたら何かにつながっていきます。私も語学の勉強を父親に意味がないと反対されたこともありましたが、続けていたことで色々な道が開けました。今は好きなことが分からない人は、色々なことにチャレンジして下さい。食わず嫌いせずにたくさんの経験をしていたら自分の好きなことが見えてくると思います。人生おもいっきり楽しみましょう!
取材・原稿作成:熊谷(インターンスタッフ)