
| 生まれ |
1975年 |
| 子供の頃の夢 |
大手企業のサラリーマン |
| クラブ活動(中学校) |
野球部 |
| 働いている地域 |
東京都 |
出身地 |
東京都 |
| 仕事内容 |
試合の様子を正しく魅力的に伝える |
| 自己紹介 |
好奇心(こうきしん)旺盛(おうせい)で何にでも興味を持ち、これぞということはトコトン追究する。何事も決して諦(あきら)めない。サッカー観戦、歌舞伎(かぶき)、演劇、映画の鑑賞(かんしょう)が好き。 |

※このページに書いてある内容は取材日(2006年10月23日)時点のものです

僕の仕事はフリーアナウンサーです。専門はスポーツコメンテーター、つまりスポーツの実況アナウンサーです。今は、イングランドのプレミアリーグ、ヨーロッパのチャンピオンズリーグ、フランスのリーグ・アンという3つのリーグを中心にサッカーの実況を専門にしています。テレビでサッカーの試合の放送する時は、普通は「実況」と「解説」の2人で試合の様子などを伝えます。「実況」は、試合で今何が起こっているかを正確に伝え、順位や以前の対戦成績などの情報を加えて、見る人が分かりやすく気持ちよく見られるようにする「喋りのプロ」です。「解説」は元サッカー選手など、サッカーの世界で活躍していた「サッカーの専門家」で、サッカーのプロの視点から選手のプレーや状態、試合の流れについて説明してもらいます。実況は綺麗な言葉を話す事よりも、解説が話しやすい状況を作り、引き立たせるかが大切です。言葉が綺麗でも目立ち過ぎて、視聴者の邪魔になっては意味がありませんからね。解説者の中にはテレビの仕事に慣れていない方もおられるので、僕達の力の見せどころなんですよ。

実況の仕事がある日は昼まで寝ています(笑)。ヨーロッパの試合時間は、日本では真夜中に当たるんです。起きてからサッカーチームのホームページで選手やチームに関する最新のニュースを見たり、海外の新聞や雑誌を読んだり、ビデオで誰がどんなシュートをしていたかなどを調べたりして、前もって作っておいた資料に書き加えます。前の週の試合のビデオを見ながら実況の練習もします。夜中の1時半くらいスタジオに入り、スタッフと打ち合わせをします。最新情報をチェックし、音声テストなどをしていよいよ本番!マイクをつけ、生放送が始まります。試合時間は90分ですが、話すのは2時間くらい。みんなが寝ている深夜が僕の本番なんです。試合は、現地のスタッフがカメラで取ったものが衛星中継で送られ、みなさんが見ているものと同じ映像を見ながら解説をつけていくんです。テレビから聞こえる僕達の声は、実は小さな部屋で小さな画面を見ながら話しているものなんですよ。
海外のスタジアムで実際に試合を見ながら実況する仕事が年に1~2回あります。試合当日には取材できないので、前日に現地で選手にインタビューをします。練習を見て選手の状態をチェックし、選手が着替えて出てきたら、ちょっとだけつかまえてインタビュー!通訳の方と一緒にインタビューをするのですが、英語を話す選手の場合は僕が直接聞く場合も多いですね。そして、みんなで打ち合わせをしながら現地の美味しいものを食べます。朝は特集などの撮影をするカメラマンに付いて行き、観光もします。現地の文化や食、人について理解するのも大切な仕事なんですよ。お昼を食べたら早めに帰ってきて、いよいよ実況の準備。新聞などで、選手やチームに関しての情報の最終チェックをして資料の手直し。そして本番!試合が目の前で繰り広げられ、しかも1番見やすい席!サッカー好きにはたまらない仕事です。
大学では、アナウンサーになるためのゼミ(少人数で授業を受けるクラス)に入って、発声練習や読みの練習、フリートークの練習…「窓の外を見て1分間話す」とか、「この写真を見て、1分間話す」とか「自分で物語を考えて話す」などの練習をしました。就職試験では大手のテレビ局など1年間受け続けましたがダメで、諦めきれず2年目にも受けて、長崎の放送局に受かり念願のアナウンサーになりました。アナウンサーというと、ニュースや司会や実況など、話をしているところしか見えないかもしれないけど、それ以外の時間の方が長い。特に地方の局アナ(特定のテレビ局に勤めるアナウンサー)は、取材や原稿を書く、アポを取る(取材先と約束をする)、キュー出し(本番の合図)を自分でする、いろいろな事件のニュース記事も読んだし、バラエティのディレクターやスポーツの実況もしました。地方はアナウンサーがお笑いタレントの役割もするんですよ。僕もスキー場でパンツ1枚でリフトを往復したこともあるんですよ(笑)。
5年間局アナとして色々な仕事をした中で、スポーツの実況が一番楽しかったんです。でももっと大きく「プロの世界で頂点を極めた人」の実況をしたい、実際に見なければ話せないと思い、会社を辞めて自分の貯めたお金でロンドンに留学し、ヨーロッパを旅行しながらサッカーの試合を見まくりました!イタリアのセリエA、スペインのリーガ・エスパニョーラ、イングランドのプレミアリーグで成る、世界のスーパースターが集結するヨーロッパ3大リーグ!実際80試合くらい見たかなぁ。さらに、イングランドのアマチュアチームにコーチ見習いとして入って、サッカーがどんなものか見て学び、帰国してからフリーアナウンサーとして仕事を始めました。いきなりサッカーを喋りたいって気持ちだけではダメで、局アナでフリートークや発声、原稿読みなど基礎を学んでいたことが大きいですね。そして何よりも、自分がやりたいと思って学びに行ったことが大きかったですね!
サッカーを見るのが好きなので、正直言うと試合を見ているだけで幸せです(笑)。それに加えて、現地のスーパースターに会って話せるんです!昔は自分にとって憧れのサッカー選手だった人が、解説者として一緒に大好きなサッカーに関する仕事をする!今なら中田英寿選手とか中山雅史選手とか?「憧れの人」が、自分の名前を呼んでくれ、隣の席で喋り、意見を聞きながら楽しくサッカーを見られる!最初はもちろん緊張しましたよ。選手の頃を考えると怖いな~って印象の人もいましたが、みんなサッカーに関する仕事を愛しているのは一緒で、すごく優しいんです。こんな幸せな仕事はないって思いますね(笑)
僕は、スポーツに関わる人の想いを伝えられるアナウンサーになりたいと思っていました。世界的に有名なスター選手も、苦しい時期や貧しい子供時代があることもあります。世界の舞台に立つまでは、想像もできない努力があったり、食べるために必死だった時期があったり・・・怪我で苦しんだ人もいます。それに、見えてないところでチームや選手を支える人達の力がある。テレビに出ない、表には出てこないことも伝えたい。今もそんな想いでアナウンサーをしています。

アナウンサーになるために必要なことは何か?僕は大きく3つの事があると思います。まず、何にでも好奇心旺盛であること!常に「何で?を大切に」。色々な事に興味を持つ。大人になってもそれを大切に、自分の興味ある分野だけでなく様々なことに興味を広げていく。次に、「フットワークを軽く」。何で?と思ったら調べてみる、実際に行ってみること。何で?を自分で知ろうとする努力が大切です。最後に、これだ!と思ったら「とことん追求する」こと。諦めないことが大切ですね。アナウンサーになる為には、すごく勉強ができるとか、いい学校を出るとかはあまり重要ではないと思いますよ。最低限の知識、ニュースを知っていることや語学力はもちろん必要だけど、これらは上の3つがあれば自然と身につくものだと思う。何のために勉強するのかがはっきり分かっていたら、自然と勉強するものなんですよ。
子どもの頃は、目立ちたがり屋なのに恥ずかしがりやでした(笑)。幼稚園の頃、スイミングスクールに行くのが嫌で着替えるまで親に見てもらっていても、その後、親の姿が見えなくなったら泣きながら追いかけていました。小中学生時代はけっこう真面目で、学級委員をやったりディベート大会が好きだったり。でも恥ずかしがりやでしたよ。クラスの出し物や学芸会などの時はいつも台本を書いていました。「主役やりたい!」って言えないけど、全部自分の思い通りにできるから楽しかった(笑)。東京の郊外で育ったので、遊び場はたくさんありました。季節の移り変わりもよく分かったので、今の仕事に役立っていますね。でも、やっぱり、恥ずかしがり屋の子ども時代からは今の仕事は想像できないって親からも言われます。
人生はどこでどう転がるか分からない。今は苦しい状況にある子でも、そこを抜け出せばすごくいい未来がある!だからすぐに投げ出さないで欲しい。将来就きたい仕事も諦めなかったらなれる!今の状況で判断しないで欲しい。絶対に明るい未来は誰しも持っているものだから。そこを耐えられたら、乗り越えられたら、絶対自分にプラスになる。逆境こそ自分を成長させられるバネになる。それは、いじめかもしれないし、英語が苦手かもしれないし。僕も英語は苦手で、高校入試も入社試験も英語苦手で一問も解かずにクリアした事もあります(笑)。苦手と思い込んでいて何もやらなかった。でも、サッカーの実況がしたくて、イギリスに留学したら出来るようになった。挨拶も出来ないのに行ったんですよ(笑)。でも、いざとなれば出来る。自分の「好き」に向かってなら出来るんです!だから、自分で「苦手」や「辛い」を、決め付けないで欲しい。明るい未来を信じて頑張って欲しいです。
取材・原稿作成:倉田(インターンスタッフ)